売上目標・価格・お客様の数・営業時間、これらの整合性をとることがポイント
今日で第4章が終わります、ルート外交マニュアル。
外交営業の難しさと、反対にきちんと考えて行動すればそれなりに良い面もたくさんあることがわかってきたかと思います。
しかし、これはまだ机上でのこと。ここから先、幾多の難関が待ち構えているのです。
それでは、瀧藤先生の外交営業極意…どうぞ。
★顧客獲得数の把握(後半から)
「繁忙期を考慮して計算する場合、繁忙期分を1ヶ月余分に売上が増加するとして計算します。考え方としては、年間売上を1ヶ月の売上にして、さらに1日の売上と小さくしていきます。そして、その1日の売上に必要な人数を求めればいいのです」
「そうか!要は1日の売上に必要な人数を求めればいいのですね」
「その通りです。後は、週6日営業するので掛ける6日で必要な人数が求められます」
藤川は続けた。
「延べ人数から求める場合は、今度は週単位で考えます。というのは、外交は週単位で考えているからです」
「なるほど。固定客の定義は週に一回クリーニングを出すお客様のことでしたから、この場合も週単位で考えるわけですね」
「その通りです。そこで、1年は52週ありますから、正月休みと盆休みを考慮して、年間50週として計算すればいいのです」
「両方とも計算自体は、ごくごく簡単ですね」
「ええ。でも大切なことは、先ほど言ったように平均出点数を使って、客単価を求めることです。これがないとこの計算はできません」
「この1750円の客単価がポイントということですね」
「そうです」
「ということは、216人か229人のお客様がいれば売上は自然と2000万円になるわけですね」
「いえ、実際はちょっと違います」
「違うのですか?でも、これで求まると言いましたよね」
「ええ。実はこの人数の固定客を集めると実際はもっと売上が多くなるのです」
「???」
「これは固定客の定義によります」
「もう一度固定客の定義を言ってみて下さい」
幸二はせっかく分かりかけてきたのに、又混乱しだした。
「固定客とは、少なくとも週一回平均3・5点のクリーニングを出すお客様のことです」
何回もこの定義を言っているので、もうすっかり覚えてしまっていた。
「ですね」
藤川はにこやかに答えた。
「まだ分かりませんか?」
「すみません。分かりません」
ちょっとむっとして幸二は答えた。
「お客様は必ず週一回に出すとは限らないでしょう。毎回出すかもしれません。でも…」
そこまで藤川が言ったところで、幸二が言葉をふさいで言った。
「でも、週一回も出して頂けないお客様は固定客としてはカウントしない。だから予定人数に達すると売上は目標よりも必ず多くなる」
「その通りです」
幸二は、やっと理解できてほっとした顔を見せた。
「でも、だからといって必要顧客数を少なくしてはだめですよ。目標の設定は予測の最低の数字で考えることが鉄則です」
藤川は、念を押すように幸二に言った。
★営業時間の決定
「さて幸二君、外交計画の中で売上目標、価格の次ぎにくるのが営業時間ですが、先ほどの必要顧客数が出た段階で、この営業時間が必然的に決まってくることは理解できていますね?」
幸二は、外交をおこなうにあたって必要な設計図、即ち外交計画には、一人のお客様にかかる時間、それも移動時間まで含めた時間を把握しなければならないと言っていた藤川の言葉をしっかりと思い出していた。
「営業時間、外交をおこなう時間は、売上目標に必要な顧客数にその一顧客にかかる移動時間も含めた必要時間を掛け合わせた時間の合計が営業時間となります」
幸二は自信を持って答えた。
「その通りですが、それは外交活動時間ですよ」
「ん?営業時間イコール外交活動時間ではないのですか?」
「営業時間とは、もちろん外交活動時間も含まれますがそれだけではありません。ちょっと考えてみて下さい。マーキングはどうするのですか?伝票は誰が書くのですか?その上お客様に納品するクリーニング品をどう整理するのですか?」
「そうですよね。おっしゃる通り、預かった服にマーキングしなければなりませんし、伝票もつけなければなりません。おまけにお客様の所に着いてその都度車の中のクリーニング品をひっかきまわして探すなんて、それこそ時間の浪費ですよね」
「そうでしょう。だったら営業時間とはそれらの時間も含めて考えなければなりませんね」
「そうか!営業時間とは、外交活動時間に足して効率よく訪問するために訪問順にクリーニング品を積み込む作業時間、マーキングをおこなう時間、伝票を付ける時間その全てを合計した時間で無ければならないわけですね」
「その通りです」
「ということは、売上目標を決めて価格を決めると、それに必要なお客様の数が決まってしまう。お客様の数が決まると外交に出ている時間が決まってしまう。ということは、価格が決まって、営業時間が決まると売上が決まってしまうわけで、だからそれぞれ整合していなければならないと言っていたわけですね」
「そうです。理解して頂けましたか」
★この章のポイント
1・外交の骨格づくりといえる
その設計図をしっかりつくることである。
2・正しく的確な設計図とは
「売上目標」「価格」「営業時間」をまず決めること。
(1)営業時間によってお客数が決まる
(2)売上は「価格」と「営業時間」によって決まることを
理解すること。
3・外交計画の作成手順は
(1)外交員一人当たりの
売上目標を設定する。
(2)アイテム毎の単価を決める
(3)必要なお客数を算出する
(4)お客様の訪問日数を決める
(明日もお楽しみに)
ルート外交マニュアル〈最終完結版〉 2005/12/01 (2005年12月01日発売) | 【Fujisan.co.jp】の雑誌・定期購読