ZENDORA BOOKS BLOG

とってもとってもニッチな会社!クリーニングの業界出版社・ゼンドラ株式会社より発行しております、書籍紹介のブログです。クリーニング店の皆様だけでなく、どなたでもお読みいただける内容をまとめておりますので、ぜひとも気軽に読んで楽しんでくださいね。

訪問件数の誤差から発生する「時間のずれ」を認識せよ

たくさんの方に外交営業を学んでいただけております。
誠にありがとうございます。

お話は、実際にルートを作る段階になってきましたね。

肝心要なポイントです。ゆっくりお読みください。

それでは「ルート外交マニュアル」前回からの続きをどうぞ!

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 「もし決められた時間を守らなければ?」

 

 「普通、外交を利用している人は、時間を節約している人達が多いのです。もちろん一対一で接しますから、細かい指示を出せる事もあるのですが、基本的にはわざわざクリーニング店にまで持って行く時間を節約していると思った方がいいでしょう。ということは時間を大切にしていることです。この人達に何時来るか分からない、当てにできない外交員を待っていてくれる寛容な人がいると思いますか」

 

 「いないでしょうね」

 

 「とすると、この「ルート作り」は、効率良くお客様を訪問しながら、お客様との間で取り決めた時間を守れるような作り方をしなければなりません」

 

 「そんなに難しいのでしょうか?」

 

 幸二は、ルートができあがっていればそれはそれほど難しいことではないような気がした。

 

 「幸二君、できあがっているルート上ではそれほど難しい事ではないのですが、今はそのルートそのものを作らなければならないのですよ」

 

 「???」

 

 「定期外交は、基本的にはお客様との間で取り決めた時間に、訪問しなければなりません。でも、やみくもにお客様を作っていくとどうなるでしょうか?」

 

 「お客様との時間を守らないといけないわけですから、おそらくあっちに行ったり、こっちに行ったりすることになりますね」

 

 「その通りです。訪問する時間がバラバラになってしまいます。それでもその時間を守ろうとすると、お客様の間を右往左往しなければなりません。これでは効率よくお客様を訪問しているとはいえませんね。これは、お客様同士を結ぶことを基準にルート作っているからです」

 

 幸二には、まだよくのみこめない。

 

 「でも、ルートとはお客様同士を結んでいるものではないのですか?」

 

 「ええ。確かにルートはお客様同士を結んでいます。しかし、最初にお客様があって、そのお客様同士を結んだものがルートであると、そこにお客様との間で取り決めた時間があるので、結局、お客様の間を右往左往することになるのです。であれば、お客様を基準とするのではなく、まず基準となるルートを決めた上でそのルート上にお客様を作っていくと、その時間に合ったお客様ができることになります。これは、ルート上の移動は時間によるからです。ですから、基準はお客様ではなくルートを基準に考えなければならないのです」

 

 「やはり、キーになるのは、「時間」ということですね」

 

 幸二はやっと理解できてきたので、ちょっと安心して答えた。

 

 「そうです。これが時間の管理にあたります。でも、このルートを基準にしてお客様を作っていく時に問題が出てきます」

 

 「問題?」

 

 「ええ。まったくお客様が無い時、即ち、新しく外交を立ち上げる時には、作り初めとルートになってからとで、訪問件数による時間の誤差が生まれるのです。」

 

 「訪問件数による時間の誤差ですか?」

 

 幸二は、分からないといった顔をした。

 

 「実際にお客様を作っていく場合を想定した方が、よく分かると思います」

 

 藤川は続けた。

 

 「ある集合住宅でお客様を作っていく場合を考えてみて下さい」

 

 幸二は、中心地にあるマンション群を思い浮かべた。

 

 「定期外交でのお客様の獲得は、基本的には一軒一軒ドアコールをおこないます。詳しいことは実践する時にお話しますが、その集合住宅の全ての住人が見込み客であるわけですから、その一軒一軒にドアコールをかけて、勧誘、交渉をおこないます。当然、それなりに時間がかかります。

 

 仮に一つの集合住宅で60分かかったとしましょう。ところが、全ての見込み客がお客様になるわけがありませんので、1~2週間後にはお客様になっていただいた所にだけ、訪問することになります。

 

 ということは、当初60分かかっていたその集合住宅への訪問時間が数週間後には10分ぐらいで済んでしまいます。お客様の獲得はこの集合住宅だけではありませんので、そのルート上の同じような集合住宅で同じ事をおこなっています。

 

 仮に9時から始めたとして、最初の集合住宅では10時までかかったとして、次の集合住宅では10時からの訪問になります。その次の集合住宅では11時からです。ところが数週間後には最初の集合住宅の訪問は、お客様になって頂いた所だけですから、9時10分頃には終わってしまいます。

 

 ところが、その9時10分から次の集合住宅に行っても、その集合住宅の訪問は10時からですから、ここで50分も早く訪問することになってしまいます。でも、その集合住宅で獲得したお客様は、基本的には10時以降に訪問しなくてはなりません。

 

 それでもそのまま次の集合住宅に行ってしまうと、3番目の集合住宅には、なんと1時間40分も早く着いてしまいます。これではお客様との間で取り決めた訪問する時間を守ることは、できなくなってしまうのです」

 

 ここまで聞いて幸二は疑問に思った。

 

 

(明日もお楽しみに)

 


ルート外交マニュアル〈最終完結版〉 2005/12/01 (2005年12月01日発売) | 【Fujisan.co.jp】の雑誌・定期購読


瀧藤圭一著
ルート外交マニュアルほか書籍一式