ZENDORA BOOKS BLOG

とってもとってもニッチな会社!クリーニングの業界出版社・ゼンドラ株式会社より発行しております、書籍紹介のブログです。クリーニング店の皆様だけでなく、どなたでもお読みいただける内容をまとめておりますので、ぜひとも気軽に読んで楽しんでくださいね。

外交営業は非効率…これを知れば売り上げは上がっていきます

今日はルート外交マニュアルの日です。

外交営業の本質(非効率)を分かっていないと、ただ闇雲に時間を過ごしているだけかもしれません。

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第3章 外交についての考察 (前篇)

 

「さきほど中山さんは、外交は効率良く売上があがるとおっしゃいましたね」

 

「はい。」

 

「ところが外交は、とても効率の悪い営業形態なのです」

外交が効率の悪い営業形態だと聞いて、売上低迷の切り札として、初期投資が少なく、それでいて確実な売上が見込める外交を始めようと考えていた中山親子は、一瞬耳を疑った。

 

「でも、外交はこちらから積極的に訪問するので、確実に売上が見込める効率のいい形態ではないのですか」

 

幸二には、藤川の言っている事が理解できない。

 

「では、こちらから積極的に訪問するお客様とは、どのようなお客様でしょうか?」

逆に藤川が幸二に尋ねた。

 

「それはもちろん決まったお客様です」

 

「そうです。この売上が見込める理由は、決まったお客様を訪問しているからですが、この決まったお客様、言いかえれば固定客のことですが、この定義が外交を効率良く見せかけているのです」

 

「固定客の定義が効率よく見せかけている?」

 

「そうです。どのようなお客様を固定客とするのかが問題となります」

定期外交の場合、固定客を定期的に訪問するが、この定期的に訪問する時にどれくらいの頻度でクリーニング品が出てくるかで、固定客の定義が決まる。

 

定期外交は、普通1週間単位で訪問回数を決めている。であれば、この1単位でクリーニング品を出す顧客を固定客と呼ぶべきである。即ち、少なくとも週に一度はクリーニング品を出す顧客を固定客と定義するのである。

 

これは、週に2回訪問する場合、50%の確率で顧客からクリーニング品を受注することになり、週3回の訪問では33%の確率でクリーニング品を受注することになる。であれば、訪問する顧客が多ければ多いほど、受注する件数は多くなる。これが、外交を確実に売上が上がる営業形態と見せている理由である。

 

「なるほど。固定客の定義はそうゆうことだったのですね。では、どうして外交は非効率なのでしょうか?」

 

幸二は少し分かりかけてきた。

 

「外交はこちらから訪問するが故に、二つの大きな欠点があります。これが外交を非効率なものにしているのです」

 

この二つの欠点とは、

 

・ 同時に二ヶ所以上の顧客を訪問できない。
・ 顧客間を移動するには、必ず移動時間がかかる。

 

「それはそうです。体はひとつしかありませんから、同時に複数のお客様を訪問することなど出来ません。それにお客様からお客様に移動するのですから、移動時間がかかるのは当たり前です。でもどうしてそれが外交の非効率に繋がるのですか?」

 

「外交をおこなう時間には、限りがあるからです」

 

「限りとは?」

 

「一日に外交をおこなう時間、営業時間と言い換えれば良いでしょうか、これは当然決まっていますので、この時間内でお客様を訪問しなければなりません。多くの売上を上げるのであれば、多くのお客様を訪問することで、それだけクリーニング品が出てくるわけですから、当然売上は多くなります」

 

「さきほどの理由からですね」

 

「そうです。でもこの二つの要因は、営業時間内の限られた時間に多くの固定客を訪問することを妨げてしまいます」

 

「そうか…。同時に複数のお客様を訪問できないので、一人ひとりのお客様を訪問しなければならないから、それぞれに時間がかかってしまう。その上、お客様間を移動するにも時間がかかってしまう。移動時間が長ければ長いほど、限りがある営業時間内でお客様を訪問する時間がそれだけ少なくなる。個別に訪問するための時間やお客様間の移動で時間を使うわけだから、営業時間内で訪問するお客様の数は当然限られてしまうわけですね」

 

「具体的に言いますと、ひとりのお客様にかかる時間、即ち訪問している時間と移動する時間を合計した時間ですが、かりに一人のお客様にかかる時間が6分であれば、1時間に訪問できるお客様は、10人になるし、これが10分かかるのであれば、6人になってしまいます。必ずお客様毎に、それぞれ時間が必要になります。同時に何人ものお客様に対応できない。だから外交は非効率なのです」

 

「ということは、外交で大切なものは、時間だということですね」

 

「そうです。時間の有効利用であり、時間の管理ということになります」

 

外交をおこなう上で重要なことは、限られた時間内で効率よく顧客間を移動し、いかに多くの顧客を訪問することが出来るのかを、常に考慮していなければならない。


(第3章 外交についての考察 (前篇) おわり)

明日もお楽しみに


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瀧藤圭一著
ルート外交マニュアルほか書籍一式