ZENDORA BOOKS BLOG

とってもとってもニッチな会社!クリーニングの業界出版社・ゼンドラ株式会社より発行しております、書籍紹介のブログです。クリーニング店の皆様だけでなく、どなたでもお読みいただける内容をまとめておりますので、ぜひとも気軽に読んで楽しんでくださいね。

あなたの工場はどちらですか!儲からない工場?儲かる工場?

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作業が遅れている部所があるにもかかわらず、お構いなしに自分の持ち場をやり続ける。そんなに仕掛かり品をつくっても儲からないことを、もっと学ぶべきです。

 

メーカーで言うならば過剰在庫。究極の無駄ですよね。製品をつくらないでお金で預けていれば利息が付くわけですから。

 

クリーニングも同じです。お客様にクリーニング品が渡された瞬間が商品の完成だとしたら、引き取りに来ない品物は過剰在庫といえます。

 

クリーニングは地価の高い商業地域に、倉庫業を営むようなもの。このスタイル自体、儲かる体質ではないですよ。

 

だってね、IKEAだってコストコだって、商業一等地にお店出したりしませんよね。考えてみれば一目瞭然なんです。

それでは、今日も大野耐一ワールドをお楽しみください。

 

第9話 確実に良品だけを、一個ずつ作る。一番ムダのない作り方です。

 

一個流しといったって、何も特別なことをするわけじゃない。

 

さっきも言ったように、この座り作業というのがまず「ダンゴ」を作るもとでね。すぐ手元に何でも置きたがる。また、機械と機械の間隔を開けておくのもいかん。

 

人間というのは、なんか場所があいとると、物置くんだね。

 

それが「ダンゴ」になるだけじゃなく、運搬のムダまで生みだす。だから、まず立ち作業にすることです。その点クリーニングはいいですね。
 

縫製の方もクリーニングと同様に女子従業員が多いんですが、今NPSやっとる鈴村っていう男が、昔トヨタで部下だったんですが、そいつが縫製の工場を指導にいった時、一日しゃがんで女の子の足見とったらしいんです。

 

本人は、足で何か作業しとるのだろうかと、観察しておるつもりだったのですが、女の子たちに「スケベ!」と怒鳴られたそうです(笑)。何を人の足下をのぞいとるのか、というところでしょうな。


 で、分かったことは、何も足で作業しとらんのだから立って作業やればいいということなんですね。あれ、今でもミシンというとみんな腰掛けてやっとりますが、あれは単に足踏み式ミシンの名残りでね、何の理由もないんですよ。
 

 

私がちょくちょく指導に行っとる、博多のオムツカバーのメーカーでも最初座ってやっとったんですが、今ではミシンの足チョン切って立ってできる高さにして、品物を手渡しにして一個流しやっとります。

 

こういうのは、かえって工場長とか幹部の方が抵抗するんですね。ここでも前は百枚単位でロット組んどったものですから、「もっとロットを小さくしなさい」といったんですが、まあなかなか言うことをきかん。

 

で、徐々に小さくしていったんですが、一ロット何枚っていう数になった時に、そこの女子社員が「工場長、そんなのいちいち数えるぐらいだったら、一枚ずつやったほうが早いですよ」といって、とうとう一枚流しになったんです。どっちの方がやりやすいかなんていうことは、現場の人間の方が良く分かるんでね。

 

とにかく一個流しというのは一個ずつ作っていくのですから、手流しで運搬のムダがない。また、一個流しだから今までのように大きな機械はいらない。

 

たとえば穴を開ける工程があれば、そこにはただ穴が開けられる機械があればいいのです。「簡易マシン」と呼んどりますが、余計な機能はいらない、専用の単機能でいい。そのかわり工程順にその機械を並べて「多工程持ち」という作業の仕方をしてもらいます。

 

一人で、異る作業をする機械を数多く行程の順番に持ってもらうのですが、これだと作業者は一定のペースで作業できるので、退屈もせず汗もかかずにすみます。

 

何人かの人数で作業するときには、品物をリレーのバトンだと思って、となりの人に渡します。品物を受渡する部分がちょうどバトンタッチゾーンですね。このバトンタッチゾーンがあれば、もし前工程の作業が遅れていても、見りゃすぐ分かるので後工程の人間が助けにはいることができる。

 

困っとるもんがおれば、お互い助け合うことができるんで、これは「ダンゴ生産」やっとっちゃ、できんことですからね。

 

(確実に良品だけを、一個ずつ作る。一番ムダのない作り方です 終)

 

作業の連携は大切です。前工程の遅れを取り戻すことは、渋滞が起きそうな車速減少区間に人を配置し、「スピード減速注意!早く行け~」と告知するようなもの。一か所の遅れが工場全体の停滞を及ぼすわけですから。

 

工場でのものづくり、それは川のように、道路のように、よどみなく流れるのが一番!そのためのジャストインタイム。「前工程は神様、後工程はお客様」といわれるゆえんですね。

 

 

出展:伊藤良哉著・クリーン忍術心得帖パート1(ゼンドラ出版


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