同じ「みる」でも、こんなにも意味が違う職業も珍しいかも
今日は心に響くカウンターセールスから。
おなじ「みる」という言葉。しかしクリーニングの店頭では3つの「みる」を実践しています。その違い、わかりやすく端的に説明できますか?
それでは「見る・視る・看る」をお楽しみください。
見る・視る・看る(本論)
★人生の物語り★
お客様の衣服には、お客様の“人生の物語り”がこめられています。
お客様の衣服には、お客様の“人生の思い出”が息づいています。
あなたが毎日カウンターで手にするお客様の衣服は、決して“汚れもの”ではありません。衣服という“もの”ではあっても、お客様の身体(からだ)と心を包みこんだ、言ってみれはお客様の分身です。『衣服はワタシ』、ココ・シャネルの言葉です。
カウンターでの「あなた」の仕事を3つの言葉に整理します。
見る(ミル)
視る(ミル)
看る(ミル)
「あなた」の仕事の基本は、3つの『ミル』を実行することです。
★『見る』★
はじめの“ミル“は『見る』。確かめる、目にとめて知るという意味です。カウンターでは点検確認と表現されます。なにより大切なことですし、日々毎日あなたがうるさく言われていることですね。点検とは受付時を主とし、確認とはお渡し時が主になります。ではなぜ点検確認“見る“行為が必要なのでしょう。
①クレームを防ぐため
②適正料金をいただくため
この2つが見る―点検確認の目的ですね。必要なことであり、とても重要なことですぐカウンターのあなたにとっては、基本中の基本になっています。
光と影、表と裏、陽と陰、ものごとには全くからく二面性・反面性があります。点検確認という“見る”行為でイタズラに長く、お客様を待たせてはいませんか。点検確認という“見る”行為が、お客様の衣服の粗探し、失敗探しに映ってはいませんか。さらに言えば、“見る”行為がクリーニング料金の値踏みと感じさせてはいないでしょうか。
一所懸命に点検確認をしてくれているあなただから、ちょっと心配しています。
“見る”の二面性・反面性が「自分の都合」であり、「自分を守るため」に他ならないからです。
★『視る」★
“見る”行為では、クリーニング商品は売れません。お客様のお品を預かり取り次ぎ、受け渡すだけです。クリーニングは販売、売ることだと言い続けています。あなたは受け渡し員でも取り次ぎ員でもなく、販売員なのだとくりかえし述べてきました。“見る”は受け渡し員、取り次ぎ員のレヴェルです。“見る”を“視る”に高めることから、販売というあなたの世界が拡がります。
『視る』の意味は、診察診断する。判断するという意味です。
お客様があなたに手渡すお品は、汚れものではありません。疲れ、くたびれ、病気になったお客様の分身なのです。お客様はあなたに病気を治してください、癒してくださいとたのんでいるのです。汚れ、傷つき、疲れているお客様の衣服を診察すること、診断することが“視る“行為です。視る、診察診断する行為とは、訊ねること、聞くことです。
「どこが痛いんですか」「どこが苦しいんですか」のかわりに、「お気づきや、お困りのシミはございますか』、そう訊ね聞いてあげてください。そう心配、心を配ってあげてください。
販売、売るということをお役にたつ。因っていることを解決してあげると、読み替えてください。なにより、思いやる心、心配ることが先なのです。
お客様の都合やお客様の衣服を守るための診察であり診断。それが“視る”―訊ね・聞くというあなたの仕事です。
自分の都合をお客様の都合に。自分を守るためを、お客様の衣服を守るために、たった一言の魔法の言葉が変えてくれます。くりかえします。
『お気づきや、お困りのシミはございますか』
そうです。顔を上げ、目線を合わせ、にこやかに心を配ってあげてくだきい。お客様はもう敵ではありません。素直に「あなた」の提案・アドヴァイスに耳を傾けてくれるはずです。売ること、販売はここから始まります。
★『看る』★
最後の“看る”。看護婦さんの“看”の字です。介抱し助ける、人を守るという意味です。“視る”はお客様の衣服を守ることでした。“看る”は衣服から、お客様という“人”そのものを守ることです。お客様という“人”を保守点検、保って、守って、点検するという全ての行弟が“看る”なのです。看る基本は、お名前をおよびすることに始まります。
「よけいなお世話」でなく、お客様の心に響く「大きなお世話」をすること、し続けることが“看る”ことです。お客様という“人”に心を配ることです。
見る
視る
看る
あなたはなにを“みて”いますか。