ZENDORA BOOKS BLOG

とってもとってもニッチな会社!クリーニングの業界出版社・ゼンドラ株式会社より発行しております、書籍紹介のブログです。クリーニング店の皆様だけでなく、どなたでもお読みいただける内容をまとめておりますので、ぜひとも気軽に読んで楽しんでくださいね。

なぜいま求められているのか、それは既存の運営手法に限界があるからです

本日より新しく、いま売れっ子の瀧藤圭一先生の著書「ルート外交マニュアル」を掲載しはじめます。

実はこの本、二冊の本を一つにしたためかなりのボリューム。一話ずつ掲載しても最低2年はかかるかもしれません(爆)


いま再び、外交営業が注目されています。なぜ注目されているかと申しますと


クリーニングに洋服を出すお客様
クリーニングに洋服を出さないお客様
春のみ、一年一度しか洋服を出さないお客様


この3極化が進んでいるからです。

しかも、クリーニングを頻繁に出す方々は、外交サービスを定期的に利用される傾向が都市部を中心に顕著に現れております。

反対に、都市部でも市街中心部もしくは郊外のインショップでは、まだまだ店舗優位となってますが、人口動態の移り変わりで、クリーニングの利用形態も徐々に変わりつつあると見るのが正しい見方かもしれません。

外交サービスはこれまでも・これからも続きますが、これまでのご用聞きスタイルでは通用しなくなっているのも事実です。しかし、ご用聞きからピザの宅配のような「デリバリー(筆者はコール外交と呼んでますが)」に変わればよいのか…というとそんなに簡単ではありません。

なぜなら利用者の客層ならびにニーズが明確に違い、また運営形態やコスト計算など、あまりに違いすぎることが多いのです。ですからデリバリーとルート外交を一緒に考えてしまうのは、得策ではないだけでなく危険な思い込みかもしれません。


今回、このルート外交マニュアルをお届けするのは…
店舗運営もしくはデリバリーに固執してきた方々に
ルートで回るとどうなのか???

ここを知っていただくだけでなく、より深く勉強してもらいたいからです。


本書はかなり昔に出版されたものですが、あいにく外交営業はその当時から現在に至っても変化なく脈々と続けられています。そして日本のクリーニング売上トップ企業である白洋舍でも、売上の中心は外交営業でございます。ここも見過ごせません。


今後のクリーニング店経営において、外交営業は欠かせないものになってきているのは間違いありません。なぜなら店舗が遠くなっているからに他なりません。遠くなるのは、いろいろな理由がありますが、ここでは省きましょう。


さあ、外交営業しかもルートのやり方を勉強してください。この書は、外交営業をこれから始めようとする方に向けて書かれておりますが、いまでも外交営業を行なっている方にもしっかりとためになる内容でございます。

また、クリーニング業以外の方は、あーっ、クリーニング屋さんって大変なのね〜と現状をわかっていただくと幸いに存じます。結構地味で、なかなか儲からない商売なんですけど、みな地に足つけて頑張っているところばかりです。

それでは、新コーナー(笑)瀧藤圭一ワールドをお楽しみください。




ルート外交マニュアル

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まえがき

今、外交が注目されています。もちろん外交は昨日今日に始まったものではなく、又、人口が散在している地方都市においては、大切な営業形態です。

 

ではなぜ、いま、外交なのでしょうか。

 

ライフスタイルの変化による消費動向の急激な変化や、回復の兆しが見えない長期の景気低迷からくる売上の減少によって、クリーニング業界を取り巻く経営環境は、日増しに厳しさを増しています。

 

その中にあって、売上の減少を補うことが出来ることはないかと考えた時に、お客様をただ待っているよりも、こちらから積極的にお客様の所に伺おう、商圏の制約も無くそう、そしてそれも出来るだけ少ない経費で、となった場合、これにぴったりの営業形態が外交になるわけです。

 

その上、決まったお客様の所にそれも定期的にお伺いするわけですから、クリーニング品の集荷がある程度見込めます。

 

外交は少ない経費で始められ、新たな出店も必要無く、商圏も店に縛られず自由に設定でき、その上計算できる集荷が見込める。こんな良い話はありません。

 

でも、一見良いように思えるこの外交ですが、実はとても非効率なのです。

 

外交は、「御用聞き」から進歩したものです。というより、近代クリーニングの営業形態はこの「御用聞き」から始まっています。しかし、この「御用聞き」にはそれゆえに持つ二つの大きな欠点がありました。

 

「御用聞き」ゆえに持つ構造上の欠点、即ちこちらから訪問する故に存在する二つの欠点です。

 

一つは、同時に二ヶ所以上のお客様の所にお伺いできない事です。当たり前といったら当たり前です。体は一つしかありませんから同時に二ヶ所以上の所に行けるわけはありません。

 

もう一つの欠点は、必ず移動時間がかかるという事です。店からお客様の所、お客様からお客様の所へと、必ず移動しなければいけませんから、その時間がかかるという事です。一日の時間は限りがあります。その中で「御用聞き」に携わる時間も当然限りがあるわけです。その限りある時間内で移動のためとはいえ、時間を消費することは効率的とはいえません。

 

これら二つの欠点により、「御用聞き」は非効率な営業形態と言わざるを得ないのです。

 

 

戦後、近代クリーニングが始まってまもなく革命的な事柄が起こりました。マーキングタグの出現です。

 

今まで、お客様の名前を一点一点お預かりした品物に「糸」や「ペン」で、マーキングをしていたものが、幅1センチ、長さ8センチほどの紙切れ一つで事が足りるようになったのです。これによってクリーニング品の大量受注が可能になりました。

 

おりしも、日本は高度経済成長が始まり、大量生産が行われるようになっていました。クリーニング業界も例外ではなく、それまで洗いに関しては専門業者に出していたものを、ドライ機を購入して自店で処理するようになりました。

 

これは、もちろんローンの発達により、購入しやすくなった事もありますが、それにも増して、今までのクリーニング代金の後払い制から前払い制へと一大改革が行われ、これによってクリーニング業の経営が安定したことによります。

 

機運は大量受注に向かっていました。そんなおり、この「御用聞き」の非効率に気づいた人が、構造上持つこの二つの欠点を補う営業形態を考え出したのです。

 

一つ目の同時に二ヶ所以上のお客様の所にお伺いできない事は、もしそのお伺いする一軒のお客様の所に、ご近所のお客様のクリーニング品を集めて頂いていたとしたらどうでしょうか。

 

これだと同時に数カ所、いや、数十箇所のお客様を同時にお伺いした事と同じではないかと考えたのです。そうです。「取次店」の出現です。この発想が「取次店」の出発点です。

 

当然このやり方は効率が良くなりますので、結果料金を低めに設定できるようになり、より多くの集荷が出来るようになりました。

 

二つ目の移動時間がかかることは、これはこちらが移動するのではなく、お客様が移動していただけないか、即ち店の方に来て頂けないか。と考えたのです。

 

おりしも自家ドライ機が店頭ディスプレイのように前面に出され、自店処理による極め細やかな品質を声だかに謳い、店そのものをアピールしだしていました。これが「ユニットショップ」の始まりです。

 

その後マーキングタグと商品との連携が図られ、システムナイズされて現在の「ユニットショップ」へと進化しました。

 

残るは「御用聞き」です。これは、店を知っているお客様を中心とした商圏内で、クリーニング品をただ集配する「御用聞き」から、集配を行なう人と店とを切り離す事によって、従来の店を中心とする商圏にとらわれる事無く自由に商圏を設定し、新しいお客様を勧誘、交渉、注文を取る、それもお客様を中心として考える「外交」へと発展しました。

 

ただ、この外交は依然として「御用聞き」が持つ非効率をそのまま受継いでいた為に、料金を店受けより高めに設定せざるを得ませんでした。

 

こうして考えると、現在クリーニング業の営業形態である「取次店」形態、「ユニット」形態、もちろん「外交」形態は、すべて「御用聞き」を発展させてきたことになるのです。

 

その元になる「御用聞き」の発展形である外交のシステムを学ぶことは、現在閉塞感のあるクリーニング業界のすべての営業形態にとって、この閉塞感を打ち破るヒントになると考えています。

 

 

本書は、わかりやすく読んで頂くために、第一部と第二部は会話調の物語風にしています。

 

そして、章の終わりには、まとめとしてのポイントを箇条書きにしていますので、ひととおり読み終えた後も、ここだけ目を通せばチェックできるようにしています。

 

第三部は、少し難しいかもしれませんが、外交論としてまとめています。第四部は少しですが、応用として店舗での活用の仕方を、これも又、会話調の物語風に書いています。

 

最後に、登場人物は架空ということになっていますが、それぞれモデルがいることを付け加えておきます。



登場人物

★藤川慶一(45歳)

クリーニング会社の創業社長。サービス業を経営していたが、当時出入りのクリーニング外交員の話に興味を持ち、クリーニング業界に入る。外交では25年のキャリヤを持つ。クリーニング業界の常識に捕われず、クリーニング業をあくまでもサービス業として常に考えている。師と仰ぐ人との出会いから、数理マーケティングを基本に、サービス業の手法を組み合わせた独自の店舗、外交理論を完成させた。多くの相談を受け、大所高所から業格向上を第一に考えて、そのノウハウを伝え、指導をおこなっている。

★中山太郎社長(55歳)

クリーニング店を経営しているが、このところの業績悪化に思い悩やんだ末、外交部門を立ち上げることを決める。そこで藤川に相談をもちかける。


★中山幸二(25歳)

中山社長の次男。東京へクリーニングの修業に行っていた。修業先の社長が藤川の師匠にあたる。外交部門をまかされることになっているが、どうしていいか悩んでいる。


★中山修一(30歳)

幸二の兄。中山クリーニング店の責任者。次期社長。

 

 

(まえがき 終)

 

 

明日もお楽しみに


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瀧藤圭一著
ルート外交マニュアルほか書籍一式