繁忙期だからこその心構え!それは…お客様にガマンさせないこと
汗を取り除くことが目的ではありません。
それは手段です。
では、何が目的なのかといいますと、お客様への安心の提供です。
同じことをどのように表現するかによって、ここまで変わるとは。いろいろと勉強になる事ばかりです。
第7話 秋の販売強化書基本編
答えのないテスト
あなたの仕事、クリーニング店のカウンターセールスとは、日々毎日が答えのないテストの連続です。
お客様が100人いらっしゃれば100の問題があり、100の答えがあると言っても過言ではありません。私たちは日本の教育の仕組のなかで答えはつねにひとつだけ、ひとつしか無いと教え続けられてきましたね。さらに言えば答えが必ず存在し、性急に答え合せすることを習慣づけられてきました。
だから悩むんです。困惑するんです、自信を無くしてしまうんです。
1人のお客様に対する答えもひとつだけとは限りません。その時々のお客様の都合、心理状態によって答えは変化し変わってしまいます。
カウンターマニュアルは「作業」にとっては有効であっても、「仕事」にとっては充分ではありません。なぜならマニュアルでお客様という人の心を動かす・・・「感動」させることはできないからです。
もうご理解いただけましたね。あなたの仕事、カウンターセールスの『答え』とはお客様に「感謝」され、お客様を「感動」させることなのです。
では「感謝」と「感動」ってどうちがうのでしょう。
「感謝」とはお客様の期待に答えた結果として、お客様からいただける『ありがとう』『嬉しいわ』『良かった』の言葉と笑顔です。
「感動」とはお客様の期待をはるかにこえた、お客様の魂、お客様の心の躍動です。『魂の躍動』を私は「感動」と表現します。
「感謝」と「感動」。お客様という人の心のなかにそれをつくれるのは、カウンターのあなただけです。全てはあなたで決まります。
努力は決して人を一異切りません。
この秋、お客様に感謝される努力から始めましょう。カウンターセールスの醍醐味(だいごみ)とは、お客様の心とあなたの心がひとつになって躍動すること-『感動の共有』なのです。
不愉快・ガマンを無くせ
お客様にとって近くて便利なクリーニング店はたくさんあります。ありすぎるほどです。そのなかであなたのお店にご来店いただいたんですよ。あたりまえのことではなく、ありがたいことなんです。
カウンターセールスの基本は、ご来店くださったお客様への「感謝」の気もちから始まります。お客様にたいするあなたの「感謝」の気もちこそがなによりも大切なことであり、全ての土台なのです。
日々毎日カウンターに立ち続けると、慣れてしまいます。鮮度、心の新鮮さも失っていきます。人の心はもろく人の意志は脆弱です。いつのまにかお客様がご来店くださることが、「あたりまえ」のことになってしまいます。
その結果が「お客様の不愉快」であり、「お客様のガマン」なのです。
なぜ、売り上げが伸びないのか?
なぜ、売り上げが下がるのか?
あなたのお店のなかにお客様の不愉快、お客様のガマンがあるからです。キツイ表現をあえて使います。あなたがお客様を不愉快にさせ、あなたがお客様にガマンさせているからです。
お客様を嬉しく、楽しく、気もち良くさせることから始めましょう。
お客様は家を出るときから、どこのクリーニング店に行くかを決めています。あなたのお店が選ばれる場所は、お客様のご自宅のなかとお客様の気もちのなかなんです。お客様の気もちのなかに、あなたの笑顔と名前が浮んでいるでしょうか。
この秋、なによりお客様の不愉快、お客様のガマンをあなたとあなたのお店からなくしましょう。
店構えより心構え
繁忙期という言葉の意味は、「頻繁に心を亡くす時期」という意味なのでしょう。いつもは、ふだんはきちんとできている、やっていることが、できなくなってしまうことってありますね。そんなときは基本があなたを助けラクにしてくれます。基本を「身につけた形(かた)」と呼んでもいいでしょうか。
茶道、華道、柔道、剣道。道がつくものはすべからく形(かた)を教わり、形を身につけます。身につけるとは意識しなくても躰(からだ)が動く、反応するということです。
私の事務所では、カウンターセールスの基本を『接客5S』『見る・視る・看る』と表現し、身につけていただいています。
忙しいときの問題はヒマなときの心構えが解決してくれます。身につける形がなにより大切なんです。
繁忙期の心構えは、
スマイル&スピード お客様の不愉快・ガマンを一掃しよう!
こんなスローガン(心構えを表わした言葉)でお店のひと全員が取り組んでみてはいかがでしょう。
繁忙期といっても開店から閉店までお客様が並んでいるわけではありません。短時間に集中する結果として、お客様を不愉快にさせお客様をガマンさせてしまいます。
「ピーク時対策」がポイントですね。いつがピーク時なのか。月の流れ、週の流れ、一日の時間の流れで予測し対策を具体化させることを「だんどり」と言います。10月11月のだんどりはとれていますか。
だんどりもまた心構えから生れます。
汗とりダブルを安心ダブルに
お客様は価値にたいしてお金を払ってくださるのです。6月から9月の下旬まで(着まわし期)は、『着心地』が価値でした。
汗とりダブルでスッキリ・サッパリ・肌触り良く・臭いも取れて・軽くなることを、お客様に教えて知らせて伝える-それが販売、売ることであり、あなたの仕事でしたね。
季節が変われば、価値も変わります。正しく言えば「変えなければ」売れません。クリーニングする目的がいま着るためから、またこんどの夏着るための仕舞い洗いに変わります。
『すっきりサッパリ汗とりダブル』は『また着る日までの安心ダブル』に変わります。
きれいのちがい、ドライクリーニングの特性はすでに述べました。
お客様の衣服の目に見えない夏の汚れ、汗が残留していると「変色」「黄変」の心配があるんです。水溶性の汚れが残っていると「カビ」になるリスクが高いんです。
ドライクリーニングだけでは『だいじょうぶですよ。また着る日までご安心してお仕舞いただけますよ。』と言ってあげられないんです。仕舞い洗いの「価値」は「安心」です。
お客様にご安心いただくためのクリーニングが「安心ダブル」なんですね。
この秋あなたの仕事は、一人でも多くのお客様に、また着る日までご安心して夏服をお仕舞いいただくことです。『安心ダブル』を売ることがお客様のお役にたつ仕事です。
だいぶ涼しくなってきました。お店のドア、入り口は開けておきなさい。
そしてあなたの心も、広く大きく開きなさい。
そう、もう秋だから。
(明日もお楽しみに)
出典:小笠原範光 著・心に響くカウンターセールス2(ゼンドラ出版)
定価2880円(本体2667円)