お客を失う理由の68%は、店員の無関心・冷淡な接客対応から(サービスは恋愛・後篇)
『サービス』この言葉が呪文のように唱えられ、なんにでも「サービス」を付ければ、売上が上がるような気がしてきます。
しかし、サービスは人と一体であり、関係性の構築が基本。また、個人の評価は会社の評価につながることを知りましたね。
では、この関係性(コミュニケーション)を、恋愛レベルまでどのように深めていけばよいのでしょうか。
今日はその後篇です。
サービスは恋愛(後篇)
★サービスの深化★
さて、サービスにはふたつある。数・量のサービスと質・心のサービスと述べました。
数・量のサービスとは、お金と物のサービスです。割引サービスやプレゼント(物)をさしあげるといった内容です。私たちクリーニング店が声高に語っているサービスとは、大半がこの金と物のサービスです。
そしてこのサービスにお客様はもう飽き飽きしています。食傷しています。食べたくないのです。おなかがいっぱいの時に、ラーメンやチャーハンが、そして弁当が3割引きだから半額だからといって無理に食べますか?
お客様は渇いているのです。
いま、お客様のこころが渇いています。お客様の渇きを癒し、心を満たすのは、質―心のサービスをおいて他にありません。そしてそれができるのは、カウンターにたつあなただけなのです。あなたにしかできません。
では、どうすればいいのでしょう。それは、お客様のために汗を流すということからはじまります。
お客様の存在を十分に認識理解しているという表現力が必要です。
お名前は呼んであたりまえです。お店がお客を失う理由の68%は、店員の無関心・冷淡な接客応対にあるのですよ。
お客様の存在を相手に伝わるように認め、その感謝の気持ちを奉仕という行為で表現することです。
お客様はあなたの心の表現力―行為によってのみ心を満たします。引き取りに長く来ないお客様の品物は、届けてあげればいいことです。
『ありがとうございます。お届けにあがりました。』その言葉だけで充分に心は伝わります。お客様のためにからだを使って、汗を流してあげられることをさがしだし、実行することです。お客様はあなたの奉仕という行為によって心を満たします。それがお各様のおっしゃる良いサービスなのです。
★サービスの本質★
サービスとは、お客様との関係(紳・結び付き)を具体的にわかりやすくするためであり、お各様との関係(絆・結び付き)の“いま”の状況を計るためにあります。
サービスはお金と物のサービスにはじまり、行為行動のサービス、そして心理精神的サービスへと深まってゆきます。あたかも恋人と出会い、デートを重ね、相手を理解し、結婚にいたる道順に似ていますね。
そうです、サービスとは恋愛なのです。まず自分の気持ちや思いを、相手に伝えることから始まります。そして相手の心をすべて一人占めしようと努力します。相手につくします。なくてはならない存在になろうとします。競争相手だっているかもしれません。時にはささいなけんかもあるでしょう。でも我や強情は張りません。なぜなら、好きだから。
お客様を好きになってください。お各様と恋愛上手になってください。サービスって恋愛なんです。もっとたくさん恋をしてください。
お客様の恋人になれるのは、そう、あなただけなのですから。
(サービスは恋愛・終)
今日はこの一文がポイントだと思います。
お客様の存在を十分に認識理解しているという表現力が必要です。
私はあなたのことを
しっかりと見ています
気にしています
大好きです
この表現そのものです。
お金でのサービスに行き詰まりを感じているのは、誰しも理解できる内容だと思います。しかし、どのように行動したら良いのか、具体的に示せていないがゆえに、どうしてもお金によるサービスに依存してしまいます。
お店とお客様、お金でない心でのつながることはできないのでしょうか?私はできると思っております。
お金や物からのサービス
行為行動のサービス
そして心理精神的サービス
この三段階へ発展させる方法を、じっくりと考えていきたいものです。
物や行為を提供しての感謝も大切ですが、それ以上の心理精神的サービスの追求は、深く考えると難しそうです。けれど…実は、本当は一番簡単なサービスだと思います。
それは『まごころ』という尺度でみれば、それが心に響くかどうかすぐに分かりますから。ねっ!難しくないですよね。
明日もお楽しみください。
出典:小笠原範光 著・心に響くカウンターセールス(ゼンドラ出版)
定価2880円(本体2667円)